就労継続支援A型・B型・就労移行支援の違いとは?就労選択支援も含めて対象者・給料・工賃を比較
障害のある方が「働きたい」と考えたとき、利用できる障害福祉サービスにはさまざまな種類があります。
代表的な就労系障害福祉サービスには、
- 就労選択支援
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
があります。
このうち、これから働き方や就労支援サービスを考える際に特に関係するのが、就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型です。
しかし、
「A型とB型は何が違う?」
「就労移行支援では給料をもらえる?」
「就労選択支援は働く場所なの?」
「一般企業への就職を目指すならどのサービス?」
など、違いが分かりにくい方も多いのではないでしょうか。
4つはいずれも障害のある方の「働く」を支援する障害福祉サービスですが、目的や対象者、雇用契約の有無、給料・工賃などに大きな違いがあります。
この記事では、4つのサービスの違いと、自分に合った働き方を考えるポイントをわかりやすく解説します。
もくじ
就労選択支援・就労移行支援・A型・B型の違い
まずは、それぞれの役割を簡単に整理してみましょう。
| 就労選択支援 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 自分に合った働き方・進路を整理する | 一般就労を目指す | 支援を受けながら雇用契約で働く | 自分の状態に合わせて働く・生産活動を行う |
| 雇用契約 | なし | なし | あり | なし |
| 給料・工賃 | 原則、働いて収入を得ることが目的ではない | 原則、給与なし | 給与(賃金) | 工賃 |
| 最低賃金 | 適用なし | 適用なし | 原則適用 | 適用なし |
| 主な役割 | アセスメント・選択支援 | 訓練・就職支援 | 就労機会の提供 | 生産活動等の機会の提供 |
| イメージ | 「何が自分に合うか考える」 | 「一般就労に向けて準備する」 | 「雇用契約を結んで働く」 | 「自分に合ったペースで活動する」 |
ここで特に重要なのが、就労選択支援はA型・B型などと同じように「働く場所」ではないということです。
自分にどのような働き方が合っているのかを整理し、その後の進路選択につなげるサービスです。厚生労働省は、本人の希望や就労能力、適性などを整理して、より良い就労先・働き方の選択を支援するサービスとしています。
就労選択支援とは?
就労選択支援は、2025年10月1日にスタートした新しい障害福祉サービスです。
「働きたいけれど、自分にはどんな仕事が合うのか分からない」
「A型とB型のどちらが合っている?」
「一般就労を目指せるのか知りたい」
といった場合に、本人の希望や能力、適性などを整理して、今後の働き方を考えるために利用します。
就労選択支援では何をする?
就労選択支援では、短期間の生産活動などを通じて、
- 本人が希望する働き方
- 得意なこと・苦手なこと
- 就労に関する能力
- 作業への適性
- 必要な職場環境
- 必要な配慮や支援
- 今後考えられる就労先・サービス
などを整理します。
その結果を本人や関係機関と共有し、必要に応じて今後利用する就労支援サービスなどとの連絡調整を行います。
つまり、
就労選択支援=仕事を決めてもらうサービス
ではなく、
本人が自分に合った働き方を考え、選択するためのサービス
と理解すると分かりやすいでしょう。
2025年10月からB型利用前に原則利用
2025年10月から、新たに就労継続支援B型を利用する一定の対象者については、従来の就労アセスメントに代わり、原則として事前に就労選択支援を利用する仕組みとなっています。
ただし、B型を希望するすべての方が一律に必須というわけではありません。
例えば、50歳以上の方、障害基礎年金1級を受給している方、就労経験があり年齢や体力の面から一般企業への雇用が難しくなった方などは、就労選択支援によるアセスメントを経ずにB型を利用できる場合があります。また、地域に就労選択支援事業所がない場合などにも例外的な取扱いがあります。
2027年4月からA型などにも対象拡大
さらに2027年4月からは、支援体制の整備状況を踏まえながら、
- 新たに就労継続支援A型を利用する場合
- 就労移行支援の標準利用期間である2年間を超えて継続利用する場合
についても、就労選択支援による就労面の課題等の把握が行われていることが原則となります。
そのため、
「2027年4月から就労選択支援が始まる」
わけではありません。
2025年10月に制度開始 → 2027年4月から原則利用の対象がA型等にも拡大
と理解しておきましょう。
朱老選択支援の詳細についてはこちらの記事から確認でできます。
就労移行支援とは?
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を支援するサービスです。
一般企業への就労が可能と見込まれる方に対して、一定期間、就労に必要な知識や能力を身につけるための訓練などを行います。
事業所によって異なりますが、
- パソコン訓練
- ビジネスマナー
- コミュニケーション訓練
- 履歴書・職務経歴書作成
- 面接練習
- 職場実習
- 就職活動
- 生活リズムを整える支援
などを行います。
就労移行支援では給料をもらえる?
就労移行支援は雇用契約を結んで働くサービスではありません。
そのため、A型のように労働の対価として給与を受け取るサービスではありません。
事業所によって生産活動に伴う工賃が支払われる場合もありますが、主な目的は一般就労に向けた訓練・就職支援です。
利用期間は?
標準利用期間は原則2年間です。
その期間の中で本人に合った一般就労を目指します。
就労継続支援A型とは?
就労継続支援A型は、一般企業で働くことが難しいものの、適切な支援を受けることで、雇用契約に基づいて継続して働くことができる方を対象としたサービスです。
最大の特徴は、
事業所と利用者が雇用契約を結ぶこと
です。
A型ではどんな仕事をする?
仕事内容は事業所によって異なり、
- パソコン業務
- Web関連業務
- 清掃
- 飲食店業務
- 調理補助
- 農作業
- 軽作業
- 梱包・発送
などがあります。
A型では給料がもらえる?
A型では雇用契約を結ぶため、**給与(賃金)**が支払われます。
原則として最低賃金法などの労働関係法令も適用されます。
そのため、
「支援を受けながら働きたい」
「雇用契約を結んで給与を得たい」
「ある程度安定して勤務できる」
という方に適した選択肢の一つです。
就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型は、一般企業への就職や、A型のような雇用契約に基づいて働くことが難しい方を対象としたサービスです。
A型との大きな違いは、
雇用契約を結ばない
という点です。
事業所では、
- 軽作業
- 箱折り
- シール貼り
- 農作業
- パン・お菓子作り
- 清掃
- パソコン作業
- デザイン
など、さまざまな生産活動が行われています。
B型では「給与」ではなく「工賃」
B型では雇用契約を結ばないため、最低賃金が適用される給与ではなく、作業などに応じた工賃が支払われます。
A型とB型の違いを簡単に整理すると、
A型:雇用契約あり → 給与(賃金)
B型:雇用契約なし → 工賃
となります。
厚生労働省によると、令和6年度のB型事業所の全国平均工賃月額は24,141円でした。
参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001637154.pdf?utm_source=chatgpt.com
4つのサービスは「順番」や「上下関係」ではない
ここは今回の記事で特に伝えておきたいポイントです。
就労選択支援・就労移行支援・A型・B型は、
「B型 → A型 → 就労移行 → 一般就労」
と必ず順番に進んでいくものではありません。
また、
「A型の方がB型より上」
というものでもありません。
本人によって、
- 障害特性
- 体調
- 働ける時間
- 得意なこと
- 必要な配慮
- 就労経験
- 将来の希望
は異なります。
そのため、本人に合った働き方を選ぶことが最も重要です。
そして、その選択をサポートするために新しく設けられたのが「就労選択支援」です。
自分にはどのサービスが向いている?
大まかに整理すると、次のように考えることができます。
「どんな働き方が自分に合うか分からない」
→ 就労選択支援
「一般企業への就職を目指したい」
→ 就労移行支援
「支援を受けながら雇用契約を結んで働きたい」
→ 就労継続支援A型
「雇用契約で働くことは難しいが、自分の状態に合わせて活動したい」
→ 就労継続支援B型
ただし、本人の希望だけで機械的にサービスが決まるわけではありません。
自治体や相談支援専門員、就労支援機関などと相談しながら、本人の状況に合ったサービスを検討しましょう。

就労定着支援とは?
厚生労働省が「就労系障害福祉サービス」として整理しているものには、もう一つ就労定着支援があります。
就労定着支援は、就労移行支援などを経て一般企業へ就職した方に対して、就職後に生じる生活面・社会生活上の課題について相談や助言などを行い、働き続けることを支えるサービスです。
今回比較している4サービスが「これからどのように働くか」という段階で関係するのに対し、就労定着支援は一般就労後の定着を支えるサービスと考えると分かりやすいでしょう。
グループホームに入居しながら利用できる?
障がい者グループホームで生活しながら、
- 就労選択支援
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
などを利用することもできます。
例えば、
朝:グループホームを出発
↓
日中:A型・B型・就労移行支援などを利用
↓
夕方:グループホームへ帰宅
といった生活です。
住まいと日中活動を組み合わせることで、生活リズムを整えながら就労を目指したり、本人に合ったペースで活動したりすることができます。
一方で、グループホームへ入居したからといって、必ず働かなければならないわけではありません。
本人の状況によっては、生活介護や精神科デイケアなどを利用したり、まずは生活を安定させることを優先したりする場合もあります。
就労支援サービスを選ぶときのポイント
サービスを選ぶ際には、A型・B型などの「種類」だけではなく、
- 本人がどのような生活をしたいか
- 将来どのような働き方をしたいか
- 週何日・1日何時間程度なら活動できるか
- どのような仕事に興味があるか
- 体調に波があるか
- どのような配慮が必要か
- 通いやすい場所か
- 事業所の雰囲気が本人に合っているか
- 一般就労を目指したいか
などを総合的に考えることが大切です。
可能であれば、実際に事業所を見学・体験してから検討しましょう。
就労先の情報は同一都道府県のグループホーム掲載ページに掲載されております。
掲載を希望の事業者様はこちらから情報を入力ください。
まとめ
障害のある方の「働く」を支える就労系障害福祉サービスには、現在、
就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労定着支援
の5種類があります。
これから働き方を考える段階では、
就労選択支援
→ 自分に合った働き方・進路を整理する
就労移行支援
→ 一般企業への就職に向けて訓練・就職支援を受ける
就労継続支援A型
→ 雇用契約を結び、支援を受けながら給与を得て働く
就労継続支援B型
→ 雇用契約を結ばず、本人の状態に合わせて生産活動を行い工賃を得る
という違いを理解しておくと分かりやすいでしょう。
さらに、一般企業へ就職した後には、働き続けるための「就労定着支援」という選択肢もあります。
大切なのは、「どのサービスが上か」ではなく、本人の希望・能力・適性・体調などに合った働き方を選ぶことです。
2025年10月から就労選択支援が始まったことで、自分に合った働き方を整理してから進路を選択する仕組みも整備されています。
「みんなのグルホ」では、障がい者グループホームだけでなく、A型・B型・生活介護・デイケアなどの日中活動先に関する情報も掲載しています。
住まいと日中活動の両方を考えながら、本人が安心して自分らしい生活を続けられる環境を探していきましょう。
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