【2027年4月】障がい者グループホームも総量規制の対象に!新規開設・定員増への影響と例外規定を解説
2027年4月1日から、障がい者グループホーム(共同生活援助)が、新たに「総量規制」の対象となります。
総量規制とは、障害福祉サービスの供給量が、自治体の障害福祉計画で定めた必要量に達している場合などに、新たな事業所の指定や定員増を認めないことができる制度です。
これまで生活介護や就労継続支援A型・B型、児童発達支援、放課後等デイサービスなどで導入されてきた仕組みですが、2027年4月からは共同生活援助も対象に加わります。
グループホームの開設を検討している事業者にとっては、
「今後、グループホームの新規開設ができなくなるのか?」
「すでに運営しているグループホームにも影響があるのか?」
「重度障害者を対象とするグループホームも規制されるのか?」
「総量規制が実施された地域では、どのような条件で開設できるのか?」
といった点が気になるのではないでしょうか。
結論からいうと、2027年4月以降、全国一律でグループホームの新規開設が禁止されるわけではありません。
自治体ごとの供給状況や地域ニーズなどによって、総量規制を実施するかどうかが判断されます。
また、強度行動障害や医療的ケアなど、地域で不足している支援については、例外的な取り扱いを設けることが望ましいとされています。
この記事では、厚生労働省の公表資料をもとに、総量規制の仕組み、対象サービス、グループホームへの影響、例外規定、自治体による運用方法、事業者が今から準備しておきたいことをわかりやすく解説します。
もくじ
2027年4月から障がい者グループホームも総量規制の対象に
2026年3月31日、厚生労働省は、共同生活援助を総量規制の対象に追加する省令の公布について通知しました。
施行日は2027年4月1日です。
今回の改正によって、共同生活援助が障害者総合支援法における「特定障害福祉サービス」に追加されます。
これにより、自治体は一定の条件に該当する場合、共同生活援助の新規指定や定員増を認めない判断ができるようになります。
なぜグループホームが総量規制の対象になるのか?
背景には、障がい者グループホームの事業所数が増加していることがあります。
地域によっては、障害福祉計画で見込んでいる必要量を超えてサービスの供給が増えている一方、十分なサービスが整備されていない地域も存在します。
また、グループホームの数が増えていても、強度行動障害や医療的ケアなど、専門的な支援を必要とする方が利用できるホームは不足している場合があります。
こうした地域差やサービスの需給状況を踏まえ、必要な地域に必要なサービスを整備していくことが、今回の制度改正の目的です。
総量規制とは?仕組みをわかりやすく解説
総量規制とは、自治体が障害福祉サービスの供給量を確認し、一定の条件に該当する場合に、新たな事業所の指定などを行わないことができる制度です。
判断の基本となるのは、次の2つの数値です。
① 供給サービス量
対象となる区域で、すでに整備されている障害福祉サービスの利用定員の総数です。
例えば、ある区域にグループホームが20事業所あり、それぞれ定員が10人であれば、供給サービス量は200人となります。
② サービス見込量
都道府県等の障害福祉計画で定められた、その区域で必要と見込まれるサービスの利用定員の総数です。
例えば、障害福祉計画において必要な定員数が180人と設定されている場合、サービス見込量は180人となります。
供給サービス量がサービス見込量以上の場合
具体例を見てみましょう。
【ケースA:供給量が必要量を上回っている】
供給サービス量:200人
サービス見込量:180人
200人 ≧ 180人
この場合、すでに供給サービス量がサービス見込量を上回っているため、自治体は総量規制の実施を検討できます。
【ケースB:新規開設によって必要量を超える】
現在の供給サービス量:170人
サービス見込量:180人
新規開設予定:20人
新規開設後の供給サービス量:190人
190人 > 180人
この場合も、新たな指定によってサービス見込量を超えることになるため、総量規制による指定拒否の対象となる可能性があります。
ただし、供給サービス量がサービス見込量を超えたからといって、自動的にすべての新規指定が禁止されるわけではありません。
自治体が総量規制を実施するかどうか、また例外的な取り扱いを設けるかどうかなどによって判断が異なります。
なお、供給サービス量とサービス見込量の比較以外にも、障害福祉計画の達成に支障が生じるおそれがある場合には、指定を行わないことができる仕組みとなっています。

総量規制の対象となる障害福祉サービス一覧
2026年10月時点での対象サービスと、2027年4月からの変更内容は次のとおりです。
【障害者総合支援法】
・生活介護
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
・障害者支援施設
・共同生活援助(2027年4月1日から追加)
【児童福祉法】
・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・障害児入所施設
これまで総量規制の対象ではなかった共同生活援助が追加されることで、グループホームの新規開設を検討する際にも、地域のサービス供給量や自治体の方針を確認する必要性が高まります。
総量規制によってグループホームの新規開設はできなくなる?
今回の制度改正で特に注意したいのが、新規開設への影響です。
総量規制が実施されている区域では、原則として新たなグループホームの指定が認められない場合があります。
ただし、これは全国一律の規制ではありません。
総量規制の実施は、都道府県等が定める区域の供給状況や障害福祉計画などを踏まえて判断されます。
そのため、同じ都道府県内でも、区域によって取り扱いが異なる可能性があります。
例えば、
・A区域:グループホームの供給量が十分にあるため、新規指定を制限する
・B区域:グループホームが不足しているため、引き続き新規指定を受け付ける
といった運用が考えられます。
また、総量規制を実施している区域であっても、地域で不足している支援を提供するグループホームについては、例外的な取り扱いが検討される場合があります。
したがって、今後グループホームを開設する事業者は、物件の契約や建築計画を進める前に、指定権者へ確認することが重要です。
すでに運営しているグループホームにも影響はある?
既存のグループホームについては、総量規制の導入だけを理由として、直ちに指定が取り消される制度ではありません。
現在の指定内容の範囲内で運営を継続することと、新たな指定や定員増を受けることは区別して考える必要があります。
一方、既存事業者が利用定員を増やす場合には、総量規制の影響を受ける可能性があります。
例えば、
・現在定員7人のグループホームを10人に増員する
・新たな住居を追加して事業所全体の利用定員を増やす
といった計画では、指定変更の内容や自治体の規制状況を確認する必要があります。
ただし、住居の追加や移転などの具体的な手続きは、指定内容や変更の性質によって異なります。
単に建物を追加するだけなのか、事業所全体の定員が増えるのかなどを整理し、事前に指定権者へ相談しましょう。
重度障害者向けグループホームには例外規定がある?
今回の総量規制で重要なのが、地域で不足している個別ニーズへの対応です。
厚生労働省の資料では、総量規制を実施する場合であっても、地域で不足している個別ニーズについては、例外的な取り扱いを設けることが望ましいとされています。
例として挙げられているのは、次のようなケースです。
① 強度行動障害のある方を対象とする場合
強度行動障害の状態にある方は、専門的な知識や支援体制を必要とすることがあります。
地域にグループホームが十分に存在していても、強度行動障害に対応できるホームが不足している可能性があります。
そのため、こうした方を受け入れる支援体制を備えた事業所について、例外的な取り扱いを検討することが望ましいとされています。
② 重症心身障害者を対象とする場合
重症心身障害者の生活を支えるためには、身体介護や健康管理など、個々の状態に応じた支援体制が求められます。
こうした専門的な支援に対応できる住まいが不足している地域では、例外的な取り扱いが検討される場合があります。
③ 医療的ケアが必要な方を対象とする場合
たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアを必要とする方が利用できるグループホームについても、地域の受入体制が不足している場合には、例外的な取り扱いが考えられます。
④ 事業承継などで支援体制が実質的に変わらない場合
法人変更や事業承継などに伴い、新規指定の手続きが必要になる場合があります。
こうしたケースでも、実質的に支援体制に変更がない場合には、例外的な取り扱いを検討することが望ましいとされています。
例外規定は全国一律で適用されるわけではない
ここで注意したいのは、上記に該当するからといって、必ず総量規制の対象外になるわけではないという点です。
厚生労働省の資料では、地域で不足している個別ニーズに対応するため、例外規定を設けることが望ましいとされています。
実際の例外規定の内容や判断方法については、自治体の運用を確認する必要があります。
そのため、重度障害者向けグループホームの開設を検討する場合も、計画段階から指定権者に相談することが重要です。
総量規制はどのような流れで実施される?
厚生労働省の資料では、総量規制の導入までの流れとして、次のような手順が例示されています。
① 供給サービス量とサービス見込量を比較する
自治体が、対象区域の利用定員総数と障害福祉計画上の必要量を確認します。
供給量が必要量以上となっている場合などに、総量規制の実施を検討します。
② 関係自治体や関係団体と調整する
規制の影響を受ける周辺自治体や関係団体などと協議します。
地域の実情を踏まえ、規制の内容や実施時期、例外的な取り扱いなどを検討することが想定されています。
③ 事業者へ周知・公表する
新規開設を検討する事業者に対して、自治体のホームページなどで規制内容を公表します。
既存事業者についても、定員増などに関する取り扱いを周知することが望ましいとされています。
④ 総量規制を実施する
規制の対象となる区域やサービスについて、例外規定に該当する場合などを除き、原則として新規指定や定員増を認めない運用を行います。
ただし、これは厚生労働省が示した運用例であり、実際の手続きや公表方法などは自治体によって異なる可能性があります。
総量規制が解除されることはある?
総量規制は、一度実施されたら永久に解除されないという制度ではありません。
厚生労働省の資料では、総量規制の実施後も定期的にサービスの供給状況を確認することが望ましいとされています。
例えば、障害福祉計画の見直しや利用ニーズの変化によって、必要なサービス量が供給量を上回る場合には、規制解除を検討することが想定されています。
また、規制を解除して新たな事業者を募集する際には、公募方式を活用することが望ましいとされています。
公募方式とは?
自治体が新規開設を希望する事業者を募集し、事業計画や支援内容などを評価したうえで、事業者を選定する方法です。
単に申請順で指定するのではなく、地域のニーズやサービスの質を踏まえて事業者を選定することが想定されています。
公募の一般的な流れは、
① 自治体が公募要項を公表する
② 事業者が応募する
③ 選定委員会などが審査する
④ 選定結果を通知・公表する
⑤ 選定された事業者が通常の指定申請を行う
⑥ 指定基準を満たした場合に指定される
というものです。
なお、公募で選定されたことだけで、障害福祉サービス事業所の指定が確定するわけではありません。
通常の指定基準や必要な手続きを満たす必要があります。
公募ではどのような事業者が評価される?
厚生労働省の資料では、公募における評価項目の例として、次のような観点が示されています。
① 事業所の所在地
地域内の事業所の充足状況や、サービスが不足している地域への整備であるかなど。
② 設備
対象者の支援に必要な設備が整備されているかなど。
③ 人員配置
職員配置の充実度や、従業者の経験年数など。
④ 事業継続性
事業の運営実績や、収支計画の妥当性など。
⑤ 職員の質の向上に向けた取り組み
職員研修の実施状況や、職場環境の改善に向けた取り組みなど。
⑥ 運営方針
地域との交流や、医療機関・相談支援事業所などとの連携体制など。
⑦ 開設目的・事業計画
地域の障害福祉計画に沿った支援内容となっているか、実際に地域のニーズがあるかなど。
また、支援対象者を具体的に示し、その方々に対するアセスメントや支援内容、個別支援計画などを評価する方法も例示されています。
今後、総量規制が実施される地域で公募が行われる場合には、単に施設を整備できるだけでなく、どのような利用者を対象に、どのような支援を提供できるのかが重要な評価要素になる可能性があります。
グループホーム事業者が今から確認しておきたいこと
2027年4月の制度施行に向けて、これからグループホームの開設や増床を検討している事業者は、早めに準備しておくことが大切です。
① 開設予定地域の総量規制の方針を確認する
まず、開設予定地を管轄する指定権者に、共同生活援助の総量規制について確認しましょう。
確認したいのは、
・2027年4月以降に総量規制を実施する予定があるか
・規制対象となる区域はどこか
・新規指定や定員増の取り扱い
・例外規定の有無
・事前協議や申請の受付期限
などです。
② 障害福祉計画を確認する
都道府県や市区町村が公表している障害福祉計画には、共同生活援助の利用見込量や整備方針などが記載されています。
こうした資料を確認することで、地域のサービス需要や今後の整備方針を把握する手がかりになります。
ただし、障害福祉計画に記載された見込量だけで、実際に指定が受けられるかどうかを判断することはできません。
③ 支援対象者と事業計画を具体化する
今後は、単にグループホームの定員を増やすだけでなく、地域でどのような支援が不足しているのかを把握することが重要になります。
例えば、
・強度行動障害のある方への支援
・重度の身体障害がある方への支援
・医療的ケアを必要とする方への支援
・高齢化した障害者への生活支援
など、地域の実情を踏まえて、どのような利用者を受け入れるのかを整理しておきましょう。
④ 物件契約前に指定権者へ相談する
グループホームの開設には、物件取得費や賃貸借契約、改修工事費など、多額の初期費用がかかる場合があります。
総量規制によって新規指定が認められない場合、事業計画に大きな影響が生じる可能性があります。
そのため、物件の購入や賃貸借契約、工事の発注などを行う前に、指定権者へ事前相談することをおすすめします。
なお、みんなのグルホでは、不動産事業者や各地域の指定権者とのやり取りを通じて蓄積したノウハウを活かし、開設を見据えた物件選定をサポートしております。
グループホーム向け物件の紹介に関してはこちらの記事を参照ください。
⑤ 自治体の最新情報を継続して確認する
総量規制の実施区域や例外規定、公募の有無などは、自治体の方針によって異なります。
制度施行後も供給状況に応じて運用が変更される可能性があるため、自治体の公表情報を継続的に確認することが重要です。

総量規制によってグループホームの選び方も変わる?
総量規制は主に事業者の指定に関する制度ですが、将来的には利用者の住まい探しにも影響する可能性があります。
例えば、グループホームの供給量が多い地域では、新規開設が制限されることが考えられます。
一方で、強度行動障害や医療的ケアなど、地域で不足している支援に対応するグループホームの整備が重視される可能性もあります。
ただし、グループホームの数が多い地域であっても、すべての利用者に適した住まいが十分にあるとは限りません。
グループホームを探す際には、
・障害特性に対応できるか
・必要な介護や生活支援を受けられるか
・夜間の支援体制が整っているか
・医療機関との連携があるか
・本人が希望する生活を送れるか
などを確認することが大切です。
「みんなのグルホ」では、全国の障がい者グループホーム情報を掲載しています。
希望する地域や必要な支援内容などから、本人に合ったグループホーム探しにご活用ください。
よくある質問
Q. 2027年4月からグループホームは新規開設できなくなりますか?
全国一律で新規開設が禁止されるわけではありません。
総量規制を実施する区域では、新規指定が認められない場合がありますが、地域の供給状況や自治体の運用によって取り扱いが異なります。
Q. すでに運営しているグループホームは閉鎖しなければなりませんか?
総量規制の導入だけを理由に、既存の指定事業所が直ちに閉鎖を求められる制度ではありません。
ただし、定員増や新規指定などについては影響を受ける可能性があります。
Q. 重度障害者向けグループホームも総量規制の対象になりますか?
共同生活援助は総量規制の対象となります。
ただし、強度行動障害や重症心身障害者、医療的ケアを必要とする方など、地域で不足している個別ニーズについては、例外的な取り扱いを設けることが望ましいとされています。
具体的な取り扱いは自治体へ確認する必要があります。
Q. 総量規制が実施されている地域でも定員を増やせますか?
総量規制の対象となる区域では、定員増が認められない場合があります。
例外規定の有無や、変更申請の具体的な取り扱いについて、指定権者へ確認してください。
Q. 総量規制は都道府県全体で実施されますか?
必ずしも都道府県全体とは限りません。
都道府県等が定める区域ごとに、サービス供給量や必要量などを踏まえて判断されます。
Q. 総量規制が実施された地域でも公募で開設できますか?
自治体が総量規制を解除し、公募方式によって事業者を募集する場合があります。
ただし、公募が必ず実施されるわけではなく、選定された場合も通常の指定手続きが必要です。
まとめ
2027年4月1日から、障がい者グループホーム(共同生活援助)が新たに総量規制の対象となります。
総量規制とは、地域のサービス供給量が障害福祉計画上の必要量に達している場合などに、新規指定や定員増を認めないことができる制度です。
今回の制度改正で押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
① 2027年4月から共同生活援助が総量規制の対象に追加される
② 全国一律でグループホームの新規開設が禁止されるわけではない
③ 自治体の供給状況や障害福祉計画などに応じて規制が実施される
④ 既存グループホームでも定員増などに影響する可能性がある
⑤ 強度行動障害や医療的ケアなど、地域で不足する個別ニーズへの例外的な取り扱いが推奨されている
⑥ 規制解除時には、公募方式による事業者募集が行われる可能性がある
今後、グループホームの新規開設や定員増を検討する事業者にとっては、これまで以上に地域の障害福祉計画や指定権者の方針を確認することが重要になります。
特に、物件の取得や賃貸借契約、建築・改修工事を進める前に、開設予定地域の総量規制の実施状況を確認しておきましょう。
また、単にグループホームの数を増やすのではなく、地域で不足している支援や利用者のニーズに対応できる事業計画を立てることが、今後ますます重要になると考えられます。
「みんなのグルホ」では、全国の障がい者グループホーム情報を掲載しています。
グループホームをお探しの方は、希望する地域や支援内容から、ご自身に合った住まい探しにぜひご活用ください。
※本記事は2026年10月時点の公表資料に基づいて作成しています。総量規制の具体的な実施区域、開始時期、例外規定、公募の有無などについては、各自治体の最新情報をご確認ください。
【参考資料】
厚生労働省
障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001716171.pdf
厚生労働省
社会保障審議会 障害者部会(第156回)
「資料3 障害福祉サービスの質の確保について」
厚生労働省
「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン案」関連資料
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