障害者グループホームの利用環境と建物タイプ別、グループホーム10選
障害者グループホームを検討する際、安心して生活できるグループホームを選びたいという思いは誰もが持っています。しかし、いざ探してみると様々なタイプの障害者グループホームがあり、違いが分からず迷ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、障害者グループホームの建物タイプやサービス内容等の違いと併せて、障害者グループホームの建物タイプ別グループホーム10選をご紹介します。
障害者グループホームの建物タイプ
障害者グループホームの建物のタイプには複数の種類があります。基本的な建物タイプは戸建てタイプ、共同住宅タイプ(施設型)、マンション・ハイツ(1室)の3種類です。ここからは、それぞれの特徴をご紹介します。
戸建てタイプ
戸建てタイプは、利用者が一戸建ての住宅で生活するタイプの障害者グループホームです。部屋は一人一室ずつありますが、キッチン・トイレ・リビングなどは共同空間となっており、複数人の利用者がシェアハウスのように共同生活を行います。 複数人で生活するため一人の時間を確保しにくい点がデメリットですが、他の利用者や世話人と共に過ごすことが多いからこそ支援の目が行き届きやすいというメリットがあります。管理がしっかりと行き届くため、手厚い支援が必要な方も安心して利用できます。
共同住宅タイプ(施設型)
共同住宅タイプ(施設型)は、複数人で共同生活を行う施設です。利用者にはそれぞれに個室がありますが、浴室・食堂・居間などは共同空間となっており、他の利用者と共同生活を送ります。
既存の戸建を利用するのではなく、グループホーム用に建設した建物や、介護施設をグループホームへ転換した施設等となっています。バリアフリーで車椅子対応可能な施設が多く見受けられ、重度の障害をお持ちの方も安心して利用できます。
マンション・ハイツ(1室)
マンション・ハイツ(1室)は、マンションやアパートに住みながらサービスを受けるタイプの障害者グループホームです。マンションやアパートを一棟、もしくは一部のお部屋を利用してグループホームとして運営しています。2DK~3DKのお部屋をシェアするタイプなので戸建タイプや共同住宅タイプに比べて少人数での生活を送るため、大人数での生活が苦手な方でも入居可能です。
ワンルームタイプ
ワンルームタイプは、一人暮らしに一番近く自身のお部屋にお風呂、トイレ、ミニキッチンなどが設備されていることが多く、食堂や交流室などの共有スペースは別のお部屋に設けられています。完全に自分のお部屋があるためプライベート空間が確保しやすいという特徴があります。しかし、戸建てタイプや共同住宅タイプ、マンション・ハイツタイプに比べると支援の目が行き届きにくいため、自立度が最も高いタイプになります。
障害者グループホームの概要については以下のページで詳しくご紹介しておりますので、概要も知りたいという方はぜひご一読ください。
障害者グループホームの利用者
障害者グループホームは、障害をお持ちの方であれば誰でも利用できるというわけではなく、対象となる利用者は原則18歳以上の方です。
さらに、障害者グループホームの利用対象は、精神障害者、知的障害者、身体障害者、難病患者という制限もあります。ここからは、利用対象となる事例について詳しく解説します。
病院を退院後、一人暮らしは不安な方
障害者グループホームでは地域で生活を送るためのサポートが受けられます。精神または知的障害をお持ちで、病院を退院後一人暮らしは不安な方は入居を検討してみましょう。
例えば、一人暮らしをするとなると洗濯や掃除などの身の回りのことだけではなく、金銭の管理も必要です。しかし、一人暮らしでは衝動的に買い物をしてしまい金銭管理が難しいという方もいらっしゃいます。そのような場合は、掃除や洗濯など自分でできる家事は自分で行いながら、金銭管理など自分でできないことに対してはスタッフのサポートを受けながら生活できます。
入所施設ではなく、家庭的な環境で過ごしたい方
入所施設ではなく家庭的な環境で過ごしたいという方は障害者グループホームが適しています。障害者グループホームは、自分の部屋で生活しながら食堂やリビングなどの共同空間も利用できるため、一般家庭の生活に近い環境で生活できます。
ただし、障害者の方の中にはなかなか他者とコミュニケーションが苦手という方も少なくありません。障害者グループホームでは、世話人や生活支援員の支援のもとパーソナルスペースを確保しながら自分のペースで共同空間にいる他の居住者とコミュニケーションがとれるため、無理なく落ち着いて生活できます。
支援は必要だが、自立した生活を送りたい方
障害者グループホームは、自分でできることは自分で行い、できないことはサポートしてもらえるため、支援を受けながら自立を目指した生活を送りたい方も障害者グループホームが適しています。
また『一人暮らし=自立』ではなく、ひとりひとり自立の形は異なります。相談支援専門員やサービス管理責任者、ご家族等と共に目標を立てながら楽しい共同生活を送りましょう。
なお、障害者グループホームに入居後どのような生活になるのか気になるという方もいるでしょう。1日の流れは障害者グループホームごとに若干異なりますが、基本的な1日の流れは以下のページでご紹介しております。
障害者グループホームの支援者
障害者グループホームに入居すると、主に世話人または生活支援員がサポートをしてくれます。世話人と生活支援員は支援する内容が異なるため、あらかじめ知っておきましょう。
世話人|日常生活の全般をサポート
障害者グループホームにおける世話人とは、日常生活の全般をサポートしてくれる支援者のことです。具体的に以下のサポートをしてくれます。
・掃除、洗濯、食事などの家事
・金銭管理
・服薬管理
・健康管理
・生活相談
このように、利用者が地域で暮らすために必要な身の回りのサポートをしてくれる人が世話人です。
生活支援員|入浴・食事・排泄などをサポート
障害者グループホームにおける生活支援員とは、障害者グループホーム利用者の入浴や食事、排泄などをサポートしてくれる人のことです。世話人は日常生活全般を専門としていますが、生活支援員は介護を主としてお体に直接触れるサポートをしてくれる職員を指します。
障害者グループホームのサービス内容
障害者グループホームでは、主に3つのサービス内容のいずれかのサービスを受けられます。
・介護サービス包括型
・日中活動サービス支援型
・外部サービス利用型
ここからは、それぞれのサービス内容について詳しく解説します。
介護サービス包括型|夜間・休日にサポートが必要な方向け
介護サービス包括型とは、生活相談や食事、排泄などの日常生活上で必要なサポートを主に夕方から朝まで受けられるサービスです。生活上のサポートはもちろん、利用者の就労先や日中の活動先とも連携を取ります。また、余暇活動などの支援も行い、必要であれば移動支援との連携、社会生活上における必要なサポートもしてくれます。
3種類のサービス内容の中で事業所数・利用者数ともに最も多く、現在も年々利用者が増えている人気のサービスです。
日中サービス支援型|24時間体制で支援が必要な方向け
日中サービス支援型とは、日常生活上のサポートや介護サービスなどの全般のサービスを24時間体制で受けられるサービスです。他の活動サービスが受けられない重度の障害をお持ちの方や高齢の障害者を対象としており、日中の時間帯もグループホームで過ごせます。
24時間体制でサポートが受けられることから、他のサービスよりも世話人や生活支援員が多く配置されているという特徴もあります。
外部サービス利用型|軽度障害の方向け
外部サービス利用型とは、自立した生活を送る上で必要となる生活相談などのサポートが受けられるサービスです。ほとんどのグループホームが夜間のサービスを主としており、日中活動している軽度障害の方向けのサービスです。
また、外部サービス利用型の特徴として、食事や排泄、入浴といった介護サービスは外部の介護事業所に依頼しています。他のサービスはグループホームの世話人がサポートしてくれます。
なお、障害者グループホームを利用するためにはいくつかの手続きが必要です。手続きの流れは以下のページにて詳しく解説していますので、併せてご一読ください。
建物タイプ別障害者グループホーム10選
ここまで、障害者グループホームについてご紹介してきました。ここからは、実際にあるグループホームを例として障害者グループホームを10件に厳選してご紹介します。
ワンルームタイプ、新築戸建タイプ、マンションタイプ、アパート・ハイツタイプ、バリアフリータイプに分けてご紹介しておりますので、それぞれの建物タイプの特徴をもとにご参考にしてください。
ワンルームタイプ
【愛丸グループホーム 新町】(大阪)
大阪にある「愛丸グループホーム 新町」は、障害支援区分の低さに関係なく入居できるワンルームタイプの障害者グループホームです。各フロアで男性と女性に分けられているためプライバシー面も安心できる他、全室Wi-Fi、エアコン、冷蔵庫やベッドといった生活様式一式が付いており、快適に生活しやすい環境が整えられています。外部サービス利用型のグループホームです。
【らぽーる桜山】(愛知)
愛知県にある「らぽーる桜山」は、ワンルームタイプの障害者グループホームです。精神保健福祉士や初任者研修、強度高度障害、作業療法士といった資格を持った職員も在籍しており、手厚いサポートが受けられます。
1ヶ月当たりの支払い金額は79,000円(家賃:34,000円・光熱費/水道費/食費等:45,000円)です。
新築戸建タイプ
【グループホーム架け橋】(大阪)
大阪府にある「グループホーム架け橋」は、介護サービス包括型の障害者グループホームです。新築ならではの綺麗な空間とアットホームな雰囲気が特徴です。通院同行を始め、提携先の訪問看護師による定期的な医療ケアや健康管理もサポートしてくれます。
1ヶ月当たりの支払い金額は84,000円(家賃:34,500円・光熱費/水道費/食費等:49,500円)です。
【LIEN(リアン) 北六甲2】(兵庫)
兵庫県にある「LEIN(リアン) 北六甲2」は、介護サービス包括型の障害者グループホームです。新築2階建で鍵付きの個室を利用できる他、テレビ線や収納棚、エアコンなども完備されています。介護福祉士や社会福祉士、行動援護従事者、強度高度障害支援者など有資格者が多方面からサポートしてくれます。
1ヶ月当たりの支払い金額は90,000円(家賃:40,000円・光熱費/水道費/食費等:50,000円)です。
マンションタイプ
【ほたるの里 神戸須磨】(兵庫)
兵庫県にある「ほたるの里 神戸須磨」は、女性専用の部屋も完備されている介護サービス包括型の障害者グループホームです。徒歩4分の位置に海があるため自然を満喫できる他、徒歩3分に駅があるためアクセスも抜群です。介護福祉の資格を持った職員が在籍しており、生活面でも介護面でも手厚いサポートが受けられます。
1ヶ月当たりの支払い金額は90,000円(家賃:40,000円・光熱費/水道費/食費等:50,000円)です。
【ライフサポートハジメ今里】(大阪)
大阪府にある「ライフサポートハジメ今里」は、介護サービス包括型の障害者グループホームです。スタッフの8割が有資格者であり、医療機関とも提携しているため健康管理も十分にサポートしてくれます。また、共用部分には監視カメラが設置されているためセキュリティ面も安心です。
1ヶ月当たりの支払い金額は86,000円(家賃:40,000円・光熱費/水道費/食費等:46,000円)です。
アパート・ハイツタイプ
【アスリードホーム】(神奈川)
神奈川県にある「アスリードホーム」は、介護サービス包括型の障害者グループホームです。ヘルパー2級や社会福祉士の資格を持った職員が在籍しており、日常生活面のみならず介護面でも手厚いサポートが受けられます。医療機関と連携しているため健康管理も安心できる他、公園やスーパーからも近いため充実した日々を送れます。
同法人内に就労支援A型もあり、就労に向けた支援も充実しています。
1ヶ月当たりの支払い金額は83,000円(家賃:35,000円・光熱費/水道費/食費等:48,000円)です。
【あ~くす原島Ⅰ】(埼玉)
埼玉県にある「あ〜くす原島I」は、介護サービス包括型の障害者グループホームです。精神科病院で勤務していた看護師が管理者のため、体調不良時も安心です。
セラピードッグが定期的に訪問する他、さまざまな季節行事も開催されており、楽しく充実した日々を過ごしやすい環境が整えられています。
1ヶ月当たりの支払い金額は78,000円(家賃:35,000円・光熱費/水道費/食費等:43,000円)です。
バリアフリータイプ
【ぐらっど姉崎】(千葉)
千葉県の「ぐらっど姉崎」は介護サービス包括型の障害者グループホームで、2022年11月1日オープン予定です。管理者経験豊富なスタッフや介護福祉士が在籍し、日中もサポートが受けられます。また、男性と女性のフロアを完全に分けているためプライバシー面も安心です。
1ヶ月当たりの支払い金額は76,000円(家賃:37,000円・光熱費/水道費/食費等:39,000円)です。
【ビーハック久喜】(埼玉)
埼玉県の「ビーハック久喜」は日中サービス支援型の障害者グループホームで、24時間入居者様をサポートしています。同グループ内で訪問看護も行なっているので、手厚い医療サポートを受けられます。
1ヶ月当たりの支払い金額は80,500円(家賃:37,000円・光熱費/水道費/食費等:43500円)です。
まとめ
障害のある方が自立して生活することを支援する障害者グループホーム。障害者グループホームは全国各地にありますが、それぞれでサポート体制や1ヶ月当たりの支払金額などさまざまな違いがあります。障害者グループホーム専門検索サイト「みんなのグルホ」で、安心して生活できる障害者グループホームを見つけましょう。
【この記事の監修看護師】
古謝優貴 看護師
精神科病院、精神科訪問看護を経験。
現在は、障害者グループホームのサービス管理責任者と取締役を勤め、精神科看護の経験を活かした地域移行への支援に取り組んでいます。
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